医療広告ガイドライン、AIで作った院内掲示物は違反?——投稿前チェック5項目
歯科AIナビ編集部
· 📖 約5分
ChatGPTなどのAIで作った院内掲示物・患者説明資料は、既受診患者に限定される範囲であれば医療広告ガイドラインの規制対象外になりうる。ただし院外から見える掲示やSNS転用は対象になる。投稿・掲示前に確認すべきチェック5項目を解説する。
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医療広告ガイドラインで、AIが作った院内掲示物は「広告」になる?
医療広告ガイドラインは、2018年の改正以降、ウェブサイト・SNS・チラシ・看板だけでなく、院内掲示物や配布資料まで規制の枠組みに含まれるようになりました。
ChatGPTなどのAIで院内掲示物や患者説明資料の文章を作ること自体は問題ありません。問題になりうるのは、その内容が医療法上の「広告」に該当するかどうかです。
「広告」に該当するかどうかは、誘引性(患者を医療機関に誘い込む意図があるか)と特定性(医療機関が特定できるか)の2つの要件で判断されます1。
厚生労働省のQ&Aによれば、院内掲示や、既に受診している患者への配布資料は、受け手が既受診患者に限定されるため誘引性を満たさず、医療広告規制の対象外になりうるとされています2。
2026-09-28時点で厚生労働省のサイトに掲載されている最新の改正通知は2024年3月のものです1。院内掲示の扱い自体を変える新しい通知は確認できませんでした。
AIは断定的で自信のある表現を生成しやすい傾向があります。「対象外になりうる」という前提を忘れて、規制に触れる表現までそのまま掲示・配布してしまわないよう注意してください。
対象外になる条件
- ●掲示・配布の範囲が、院内または既に受診している患者に限定されていること
- ●外から見える窓や掲示板に貼っていないこと
- ●ウェブサイトやSNSにそのまま転用していないこと
院内掲示と院外掲示・SNS転用で何が変わる?
同じ文章でも、貼る場所や配り方が変わると扱いは変わります。院内の待合室に貼るだけなら対象外になりやすい一方、院外から見える場所やウェブサイト・SNSに転用すると、不特定多数が見られる状態になり、規制の対象になり得ます。
「認知性」(不特定多数が広告と認識できる状態か)も広告該当性の判断要素の一つとされています。掲示物を外部から見える場所に出した時点で、認知性を満たす方向に傾くと考えておくと安全です。
対象外になりうる場合でも、「必ず治ります」「地域No.1」のような断定表現・比較優良表現は書くべきではありません。患者に誤解を与える内容は、規制の有無にかかわらず医療機関としての信頼を損ないます。
広告に該当するかどうかの判断や、表現の修正責任は、AIやツールではなく医療機関側にあります。
投稿・掲示前のチェック5項目
AIが作った文章を掲示・配布する前に、以下の5項目を確認してください。1つでも当てはまらなければ、掲示・配布前に文章を直してください。
投稿前チェック5項目
- ●掲示・配布先は本当に既受診患者だけか(外から見える窓・道路に面した場所に貼っていないか)
- ●ウェブサイトやSNSに転用していないか
- ●「必ず」「100%」「治ります」などの断定表現が入っていないか
- ●他院や他の治療法との比較優良表現(「地域No.1」など)が入っていないか
- ●AIが出力した内容を、院長やスタッフが実際に読んで確認したか
チェックした日付を記録に残しておくと、後から「AIが書いたから」ではなく「院内で確認した」と説明できます。
医療広告ガイドラインのAIチェックツール・確認の手順
医療広告ガイドライン・薬機法違反をAIでチェックする国内サービスも登場しています。「Medcheck」(株式会社Medrock)はテキストやURLを入力すると、違反の懸念点と根拠法令、修正案を提示します。料金は月額3万円から(公式サイトによれば)3。
歯科医院特化とは明記されていませんが、汎用の医療広告チェックとして使えます。
専用ツールを使わない場合も、AIで下書きした文章は院長自身が読んで確認する工程を必ず挟んでください。歯科医院のChatGPT使い方で紹介しているプロンプト例も参考になります。
患者向けの説明文をAIで作る場合は、ChatGPTで患者向け説明文を作る手順も参考にしてください。
ウェブサイトやSNSに載せる文章は院内掲示と異なり、最初から広告規制の対象になります。SNS運用をAIで自動化する際の注意点も確認してください。
今日・今週・来月にやること
投稿・掲示前に確認できたら、次は院内の運用に落とし込む番です。5項目は一度覚えれば、次からは数分で確認できます。
3つのステップ
- ●今日(15分):院内に掲示している資料を1枚選び、既受診患者限定の場所に貼られているか確認する
- ●今週(1時間):チェック5項目に当てはめて、既存の掲示物・配布資料を見直す
- ●来月:AIで文章を作るときの確認フローを院内マニュアルに追加する
この記事のまとめ
医療広告ガイドライン上、院内掲示・既受診患者への配布資料は誘引性を満たさず規制対象外になりうるが、外部掲示やSNS転用、断定表現には注意が必要で、AIで文章を作った記事ほど投稿前のチェック5項目の実施が重要になる。
よくある質問
Q.院内掲示物は医療広告ガイドラインの対象に絶対にならないのですか?
A.「対象外になりうる」のであって「絶対にならない」わけではありません。受け手が既受診患者に限定される場合に限られ、外から見える場所への掲示やSNSへの転用は対象になり得ます。
Q.AIが作った文章をそのまま掲示・配布してもいいですか?
A.推奨しません。AIは断定的な表現を出力しやすいため、掲示・配布前に院長やスタッフが内容を確認する工程が必要です。
Q.医療広告ガイドラインのAIチェックツールはいくらくらいですか?
A.国内の「Medcheck」は月額3万円から利用できます(公式サイトによれば)。歯科特化とは明記されていないため、内容は自院で確認してください。
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①論点提示:AIが下書きを作れることと、その内容の適法性を判断できることは別問題です。②現場の摩擦:忙しい診療の合間に文章ができあがると、既受診患者限定という前提が崩れた掲示物までそのまま貼ってしまいがちです。院外から見える窓や、そのままSNSに転用した瞬間に扱いが変わります。③判断軸:掲示・配布の範囲が本当に院内・既受診患者に閉じているか、断定的な表現が入っていないか、この2点を貼る前に院長自身の目で確認できているかで判断が分かれます。④次の一手:今日、院内に貼っている掲示物を1枚選び、チェック5項目に当てはめてみてください。
参考・出典
3件- [1]
「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針等の一部改正について」(通知)(医政発0322第10号 令和6年3月22日)掲載ページ(2026-09-28確認・後続の新しい通知の掲載なし)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000206553_00012.html参照: 2026-09-28 - [2]
2026年4月版|医療広告等ガイドラインに関するQ&Aを全解説(Q&A1-13・1-14引用、2026-09-28確認)
https://labcoat.jp/medical-ads-qa/参照: 2026-09-28 - [3]
歯科医師・MBA / 株式会社HAMIGAKI 代表取締役
歯科医師としての臨床経験をベースに、AI×歯科経営の実践研究を行う。歯科AIナビを運営し、全国の歯科医師・院長へのAI活用支援に取り組む。







