歯科のカルテ音声入力AIはいくら?——料金非公開の国内製品、見積り前の5つの質問
歯科AIナビ編集部
· 📖 約6分
歯科のカルテ音声入力AIは、国内では料金が公開されている製品がほぼなく、見積りを取らないと費用が分かりません。この記事では、確認できた国内製品、費用の見方、導入前にベンダーへ聞く5つの質問を整理します。
テーマ: 医院経営・レセプト・人手不足対策 | すべてのテーマ
歯科のカルテ音声入力AIで、できること・できないこと
音声入力AIには、大きく2種類あります。ひとつは、話した言葉をそのまま文字にする音声入力。もうひとつは、診察中の会話を聞き取り、カルテの形に整えるAIスクライブ(会話から記録の下書きを作る仕組み)です。
国内の歯科向けで公式情報を確認できたのは、日立と東和ハイシステムの「Hi Dental Spirit AI-Voice」です。公式の発表では、手袋を外さず音声だけで電子カルテを作成・操作できる、とされています1。
歯科ならではの使い方もあります。歯周病検査では、衛生士が検査をしながら音声で結果を記録でき、2人で行っていた検査が1人でできる、と案内されています1。
一方、できないこともあります。AIが作った記録は下書きです。誤認識や抜けがないか、歯科医師が必ず目で確認します。この確認作業は、どの製品でもなくなりません。
なお、この製品の発表は2023年2月です。2026年10月5日にページは公開されていましたが、現在の販売状況や後継の有無は確認できていません。導入前に提供元へ直接お尋ねください。
費用はいくら?——国内の料金が見つからない理由と、目安の見方
結論から書くと、歯科向け音声入力AIの国内料金は、今回確認した範囲では公開されていませんでした。Hi Dental Spirit AI-Voice の発表にも価格の記載はありません1。見積りの取得が前提になります。
代わりに、電子カルテ全体の相場を目安にできます。PHCホールディングスのメディコムの解説(2026年5月28日公開)では、クラウド型の初期費用は無料〜数十万円程度、運用費用は数万円〜とされています3。
音声入力が電子カルテと一体の製品なら、この相場に音声機能の分が上乗せされる、と考えるのが自然です。ただし上乗せ額は公表されておらず、これは推論です。
海外の歯科向けスクライブは、料金を公開しているものがあります。ベンダー自身の発表では、Denti.AI が1ユーザー月額129ドル、1拠点月額299ドルです4。為替や日本での提供有無は未確認のため、あくまで相場感の参考です。
費用を比べるときは、月額だけを見ません。初期費用、マイクなどの機器、既存カルテからの移行費、サポート料、台数が増えたときの追加料金まで、見積りに並べてもらいます。
選ぶ前にベンダーへ聞く5つの質問
料金が非公開なら、質問の質が選ぶ力になります。次の5つを、見積り依頼の時点で聞いてください。
見積り前の質問リスト
- ●いまの電子カルテ・レセコンと連携できるか。できないなら乗り換え費用はいくらか
- ●診療台の横やマスク越しの声で、実際にどれくらい聞き取れるか。デモ機を診療時間内に試せるか
- ●録音した音声はどこに保存され、AIの学習に使われるか。削除はできるか
- ●月額・初期費用・機器・サポート・台数追加を、すべて含めた総額はいくらか
- ●誤認識を直す操作は何手順か。修正にかかる時間の目安は
音声や会話の記録は、患者さんの個人情報です。保存先と学習利用の有無は、料金より先に確認します。個人情報の扱いは、歯科医院のAI利用と個人情報の注意点も参考にしてください。
導入時に守るルールと、効果の見方
医療機関のシステムには、厚生労働省の安全管理ガイドラインがあります。2026年10月5日の確認時点の最新は第7.0版で、令和8年6月の公開です2。以前の第6.0版を最新だと思い込んだ資料には注意してください。
このページの文面から、クラウドや生成AIについての具体的な記載は確認できませんでした。ベンダーには、第7.0版への対応状況を文書で出してもらうのが安全です。
効果の数字は、慎重に見ます。海外の歯科向けスクライブには、1日最大2時間の短縮をうたうものがありますが、ベンダー自身の発表です4。歯科での第三者の検証は、今回の調査では見つかりませんでした。
医科の研究では、導入1・2・3か月後に記録時間が有意に減ったと紹介されています5。ただし歯科のデータではありません。自院で測るのが確実です。
音声カルテの効果をさらに知りたい方は、音声AIカルテとバーンアウトの研究をご覧ください。
今日・今週・来月にやること
3つの行動
- ●今日(15分): 先生の医院で、カルテ入力にいちばん時間がかかる場面を1つ決め、1回あたりの分数をメモする
- ●今週(1時間): 使っている電子カルテの会社に、音声入力の有無・料金・連携可否を問い合わせ、Hi Dental Spirit AI-Voice の提供元にも見積りを依頼する
- ●来月: デモ機を診療時間内に試し、修正にかかった時間を今日のメモと比べて、導入するか決める
全体の予算の考え方は、歯科医院のAI月額予算ガイドも合わせてご覧ください。最新の製品情報は変わります。見積りを取る前に、提供元の公式ページで現状を確認してください。
この記事のまとめ
歯科のカルテ音声入力AIの国内料金は非公開で、見積りが前提です。クラウド型電子カルテの相場は初期費用が無料〜数十万円程度、運用費用が数万円〜(メディコム、2026年5月)。連携、聞き取り、保存先、総額、修正手間の5つを見積り前に確認します。
よくある質問
Q.歯科の音声入力カルテは保険で使えますか?
A.今回の調査では、音声入力機能そのものへの保険の扱いは確認できていません。電子カルテの導入費用は、IT導入補助金などの対象になる場合があるため、ベンダーと自治体の窓口でご確認ください。
Q.歯科の音声入力AIの費用はいくらですか?
A.国内の歯科向け製品は料金が公開されていませんでした。クラウド型電子カルテの相場は、初期費用が無料〜数十万円程度、運用費用が数万円〜です(3)。音声機能の上乗せ額は見積りで確認が必要です。
Q.診察中の会話を録音して問題ありませんか?
A.音声は患者さんの個人情報にあたります。保存先、AIの学習利用の有無、削除方法をベンダーに確認し、院内の掲示などで患者さんに伝える運用を整えてください。
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本質は、音声入力そのものより、誰が最終確認をして責任を持つかの設計です。入力は速くなっても、誤認識の確認を省くとカルテの質が崩れます。料金が非公開の分野では、価格比較より、修正にかかる時間を5分以内に収められるか、衛生士が2週間で使いこなせるか、という判断軸が効きます。省力化と記録の正確さはトレードオフです。明日は、カルテ入力に最も時間を取られる場面を1つ選び、1回あたりの分数を計測してください。数字があれば、見積りの比較もスタッフとの合意も進みます。
参考・出典
5件- [1]
日立「AI音声認識対応歯科電子カルテシステムについて」(Hi Dental Spirit AI-Voice、2023年2月発表。2026-10-05 確認時点でページ公開中・現在の販売状況は未確認)
https://www.hitachi.com/ja-jp/press/articles/2023/02/0207/参照: 2026-10-05 - [2]
厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月公開。2026-10-05 確認)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html参照: 2026-10-05 - [3]
PHCホールディングス メディコム「電子カルテ導入費用の相場」(2026年5月28日公開。2026-10-05 確認)
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/tech/ehr-cost参照: 2026-10-05 - [4]
Denti.AI「Best dental AI scribes in 2026」(ベンダー自社ブログ、2026年2月。料金・効果は公式サイト記載の自己申告。2026-10-05 確認)
https://www.denti.ai/blog-posts/best-dental-ai-scribes-in-2026-a-comprehensive-review参照: 2026-10-05 - [5]
Clinician, patient, and organizational perspectives on ambient AI scribes(JAMIA 33(2) 論説、2026年1月。医科。2026-10-05 確認)
https://academic.oup.com/jamia/article/33/2/253/8442807参照: 2026-10-05
歯科医師・MBA / 株式会社HAMIGAKI 代表取締役
歯科医師としての臨床経験をベースに、AI×歯科経営の実践研究を行う。歯科AIナビを運営し、全国の歯科医師・院長へのAI活用支援に取り組む。







