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歯科のレントゲンAI診断は日本でどこまで使える?——承認の確認法と保険の扱い

佐野泰喜

歯科AIナビ編集部

· 📖 約6分

歯科のレントゲンAI診断は日本でどこまで使える?——承認の確認法と保険の扱い

歯科のレントゲンAI診断について、2026年10月19日時点の調査では、パノラマやデンタルX線のう蝕・根尖病巣などを検出するAIの国内承認は確認できませんでした。確認できた承認は別の用途です。承認の調べ方と保険上の扱いを整理します。

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テーマ: AI画像診断(むし歯・歯周病・CBCT) | すべてのテーマ

歯科のレントゲンAI診断で、日本で承認を確認できたのはどこまで?

結論から書くと、今回の調査では、歯科X線画像からう蝕(むし歯)や根尖病巣を見つけるAIの国内承認は、公開情報で確認できませんでした。この記事は公開情報の調査で、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の全品目を検索したものではありません。

背景として、歯科口腔外科の医師が2023年1月に書いた解説には「歯科口腔外科領域では未だに1つもない状況」とあります5。3年以上前の記述なので、現在の状況の根拠にはせず、背景の参考として挙げます。

一方で、歯科の画像を使うAIの承認は、別の用途で確認できました。次の2つです。

確認できた承認(2026年10月19日時点)

  • ●PanoSCOPE(メディア株式会社):パノラマX線画像で下顎骨の皮質骨の厚さ(MCW)などを調べ、顎骨脆弱度(顎の骨のもろさ)の評価を支援するプログラム。添付文書に承認番号30600BZX00098000、令和6年5月作成と記載されています2。
  • ●Mucosight AI(大阪大学が開発、製造販売はモリタ東京製作所が担当):X線ではなく口腔内の写真を解析し、口腔がん・白板症・良性腫瘍・口内炎の特徴を持つ所見を示して、高次医療機関への受診勧奨の判断を支援します3。

どちらも「診断を代替するもの」ではありません。PanoSCOPEは確定診断を目的としないと明記されており2、Mucosight AIも最終診断は歯科医師または医師が行うとされています3。むし歯の読影を肩代わりするAIとは、役割が違います。

海外の動向は、FDA承認の歯科AIと日本の承認時期の差をまとめた記事で整理しています。

「AI搭載」と書いてある製品は、承認されているのか?

「AI搭載」「診断支援」と書かれていても、すべてが医療機器として承認・認証された製品とは限りません4。画像を解析して診断や治療の判断を支援するソフトは、内容によって医療機器プログラムに該当する可能性があります4。

承認の有無は、パンフレットの文言ではなく、承認番号で確かめます。PanoSCOPEのように、添付文書の1ページ目に承認番号が載っている製品は確認が簡単です2。

導入前に営業担当へ聞く4つのこと

  • ●承認番号(または認証番号)は何番か。添付文書を見せてもらえるか
  • ●承認された使用目的は何か(検出か、受診勧奨か、評価の参考か)
  • ●対象の画像はパノラマ・デンタル・CBCT・口腔内写真のどれか
  • ●承認を受けていない機能が、画面や宣伝に混ざっていないか

承認番号が答えられない場合、その機能は医療機器としては承認されていない可能性があります。この場合は、診断の根拠として患者さんに説明しない運用が安全です(これは編集部の推論です)。

AIが誤った所見を示す問題は、ハルシネーション(AIがもっともらしい嘘を返す現象)の基本も参考になります。

診察室のモニターに映るパノラマX線画像と、手元のノート
診察室のモニターに映るパノラマX線画像と、手元のノート

レントゲンAI診断に、保険の点数は付くのか?

厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」(令和8年3月5日版)を文字検索したところ、AIという語が出てくるのは「業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」という事務の簡素化の項目でした1。AIによる画像診断を評価する加算は、この資料の本文では見当たりませんでした1。

画像診断に関する改定項目は、同一部位に2枚以上撮影したときの診断料の算定方法を明確にするものでした。「2枚以上」は撮影方法の別によらず2枚以上のエックス線写真を撮影した場合とされ、第2の診断以後は所定点数の100分の50で算定します1。

この資料の範囲では、AIを使っても使わなくても、写真診断の点数は変わらないと読めます。ただし、概要資料なので、告示・通知の全文まで確認したものではありません。個別の算定は、地域の厚生局や歯科医師会に確認してください。

PanoSCOPEなどの個別製品について、保険適用や価格は、確認できた範囲では公式ページに記載がありませんでした23。費用は販売元に見積もりを依頼してください。AI導入全体の費用感は、歯科AIの月額予算ガイドにまとめています。

レントゲンAI導入前の3ステップ(今日・今週・来月)
レントゲンAI導入前の3ステップ(今日・今週・来月)

今日・今週・来月にやること

レントゲンAIは、承認の確認と院内の線引きを先に決めると、導入後に困りにくくなります。

3つのステップ

  • ●今日(15分):自院で検討中、または営業を受けているAI製品を書き出し、各社に承認番号を問い合わせるメールを送る
  • ●今週(1時間):返ってきた承認番号をPMDAの医療機器情報で照合し、承認された使用目的と、営業の説明が合っているかを確認する
  • ●来月:承認が確認できた製品だけ、無料デモで自院のパノラマ10枚を読ませ、歯科医師の所見との差をメモする。承認が確認できない場合は、診断の根拠として使わない運用を院内で決める

むし歯検出AIの精度研究を知りたい方は、AIによるう蝕検出のメタ解析をご覧ください。

この記事のまとめ

歯科のレントゲンAI診断は、2026年10月19日時点の調査でう蝕・根尖病巣を検出するAIの国内承認を確認できなかった。確認できたのはPanoSCOPE(顎骨脆弱度)などで、令和8年度改定の概要にAI画像診断への加算は見当たらない。

よくある質問

Q.歯科のレントゲンAIは、日本で承認されていますか?

A.今回の調査(2026年10月19日)では、う蝕や根尖病巣を検出するX線AIの国内承認は確認できませんでした。確認できた承認は、顎骨脆弱度の評価支援(PanoSCOPE)と口腔内写真の解析(Mucosight AI)です(2)(3)。

Q.レントゲンAIの診断に保険の点数は付きますか?

A.令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】(令和8年3月5日版)の本文では、AIによる画像診断への加算は見当たりませんでした(1)。個別の算定は厚生局や歯科医師会に確認してください。

Q.AI製品が承認されているかは、どう調べますか?

A.販売元に承認番号と添付文書を求め、その番号と使用目的をPMDAの医療機器情報で照合します。PanoSCOPEは添付文書に承認番号が記載されています(2)。「AI搭載」の表示だけでは判断できません(4)。

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Sanoの一言解説

本質は「AIが読めるか」ではなく、「承認された使用目的の範囲で、誰が最終判断をするか」の設計です。現場では、デモが印象的でも承認番号を答えられない製品があり、その画面を患者説明に使うと、説明責任が曖昧になります。精度と手間のトレードオフもあります。見落とし防止の補助にはなっても、確認の工程を省くと記録の質は落ちます。判断軸は3つです。承認番号と使用目的を文書で示せるか、対象画像が自院の撮影条件と合うか、所見を院長が5分以内に確認し直せるか。まずは問い合わせメールを今日1通送り、返答の速さと中身を比べてください。

参考・出典

5件
  1. [1]

    令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】(厚生労働省 保険局医療課。令和8年3月5日版。2026-10-19 確認)

    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf参照: 2026-10-19
  2. [2]

    PanoSCOPE 添付文書(メディア株式会社。令和6年5月作成(第1版)。2026-10-19 確認)

    https://panoscope.media-inc.co.jp/pdf/Package-Inserts.pdf参照: 2026-10-19
  3. [3]

    口腔粘膜疾患AI研究の社会実装へ(大阪大学歯学部・大学院歯学研究科。2026年8月。2026-10-19 確認)

    https://www.dent.osaka-u.ac.jp/20260804/18990参照: 2026-10-19
  4. [4]

    歯科のAI画像診断(税理士法人 辻総合会計グループ。2026年6月1日公開。2026-10-19 確認)

    https://m-assets.com/lp/dental/blog/dental-ai-image-diagnosis-2026参照: 2026-10-19
  5. [5]

    薬事承認を取得した24の医療AI機器(プログラム医療機器)について(歯科情報サイト。2023年1月20日。背景としてのみ引用。2026-10-19 確認)

    https://www.dental-oral-surgery.com/ai-medical-devices/参照: 2026-10-19
佐野泰喜
佐野 泰喜監修・編集長

歯科医師・MBA / 株式会社HAMIGAKI 代表取締役

歯科医師としての臨床経験をベースに、AI×歯科経営の実践研究を行う。歯科AIナビを運営し、全国の歯科医師・院長へのAI活用支援に取り組む。

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