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Gemini Live は歯科の問診に使える?——音声AIの線引きと代わりの手段

佐野泰喜

歯科AIナビ編集部

· 📖 約6分

Gemini Live は歯科の問診に使える?——音声AIの線引きと代わりの手段

Gemini Live を歯科の問診に使えるかと聞かれたら、患者さんの問診そのものには向かない、が答えです。向くのは、院長やスタッフが問診項目を考える壁打ちです。公式ページで確認できたこと、書かれていないこと、法律面の注意を整理します。

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テーマ: AIツールを歯科で使ってみた | すべてのテーマ

Gemini Live は歯科の問診に使える? できること・できないこと

Gemini Live は、Google の Gemini アプリで使える音声会話の機能です。公式ページには「プロンプトを入力せずに、Gemini アプリで自然な双方向の AI 音声と直接チャットできます」とあります1。会話を途中で中断したり、話題を変えたりもできます1。

問診は、主訴(来院の理由)、既往歴、服薬、アレルギーを、漏れなく記録する作業です。話しやすさだけでなく、聞き漏らさないことと、記録が残ることが大切です。この点で、一般向けの Gemini Live は問診の専用ツールではありません。この記事の結論は次の2つです。ここは筆者の判断で、公式の見解ではありません。

任せてよいこと・任せないこと

  • ●任せてよい: 院長やスタッフが、問診で聞く項目を考える壁打ち(対話で考えを整理すること)。患者さんの情報は入れない
  • ●任せてよい: 初診の流れを、声に出して言い換える練習
  • ●任せない: 患者さん本人の症状・病歴・服薬を話してもらい、そのまま問診として使うこと
  • ●任せない: 話した内容から、病名や治療方針を言い当てさせること

公式ページで確認できたこと・書かれていないこと

Google の公式ページ(2026-10-08 確認)を見ると、Gemini Live で確認できたのは、音声での会話、会話の中断、カメラで見せながら話すこと、までです1。同じページには「回答の正確性をご確認ください」という案内もあります1。

料金ページ(米国向け・米ドル表示)では、無料プランが月 $0 でした2。有料の Google AI Plus は月 $4.99、Google AI Pro は月 $19.99 です2。日本円の価格は、確認した範囲では見つかりませんでした。

一方で、次の点は確認したページに書かれていませんでした。書かれていないことを、できると決めつけないでください。

公式ページに記載がなかったこと

  • ●問診票の形に整理して出力する機能
  • ●電子カルテへの連携
  • ●患者さんの情報を入力したときのデータの扱い(学習に使われるか)
  • ●対応言語の一覧(日本語で使えるかは、実際の画面で確認が必要)

AIの名前や版は変わります。執筆時点で料金ページに載っていたモデルは「3.6 Flash」と「3.1 Pro」でした2。始める前に、公式ページで最新の状況を確認してください。

受付カウンターに置かれたスマートフォンとメモ帳のイメージ
受付カウンターに置かれたスマートフォンとメモ帳のイメージ

なぜ患者さん本人の問診には向かないのか?

理由は3つあります。1つ目は、患者さんの情報の扱いです。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版のQ&Aは、生成AIに医療情報を入力する場合を取り上げています。入力情報が「AI の学習等のために保存されないこと」が契約等で担保されていれば、国内法の適用を受けるサーバでなくてもよい、という整理です3。

ここから先は筆者の読み取りです。個人向けの無料サービスで、この担保を確認できるかどうかが分かれ目になります。確認できないなら、患者さんの病歴を話してもらう運用は避けるのが安全です。病歴は、法律でも特に慎重に扱う情報(要配慮個人情報)です。個人情報の扱いは、歯科医院の個人情報とAI入力の注意点も合わせてご覧ください。

なお、改正個人情報保護法は2026年7月17日に公布されました。施行は、一部を除き公布から2年以内で、政令で定める日です5。施行日は確認できていないため、今の運用には現行の法律が適用されます。

2つ目は、聞き取りの誤りです。キングス・カレッジ・ロンドンの研究は、歯科の音声記録で「歯や治療計画の取り違えのような、臨床的に重大な誤りが起こりうる」と報告しています4。研究者は、医療者が確認・修正する運用を勧めています4。

3つ目は、AIがもっともらしい嘘を返す現象(ハルシネーション)です。聞いていないことを足してしまう場合があります。詳しくは歯科医師のためのハルシネーション対策をご覧ください。

今回の調査では、音声AIに問診を丸ごと任せたときの見落とし率を測った査読研究は、見つかりませんでした。精度の裏付けが無い段階で、問診の本番に使う根拠はありません。

代わりの現実的な使い方は?

患者さんの問診は、医療向けに作られた問診の仕組みで行います。選ぶときは、データの保存先、AIの学習に使われないこと、削除の方法を、契約や見積りの段階で確認してください。チャット形式の問診の研究は、歯科チャットボット問診の研究で紹介しています。

Gemini Live は、患者さんの情報を入れない場面で使います。例えば、次のような使い方です。

患者情報を入れない使い方の例

  • ●初診の問診票に、聞き漏らしている項目がないか、声に出して確認する
  • ●「専門用語を使わずに、服薬の聞き方を言い換えて」と頼む
  • ●新人スタッフと一緒に、受付での聞き取りの流れを練習する

出てきた案は、そのまま使わず、院長が最終確認します。AIの案は下書きです。

問診に音声AIを使う前に確認する3つの点
問診に音声AIを使う前に確認する3つの点

今日・今週・来月にやること

3つの行動

  • ●今日(10分): 院内で、患者さんの情報を個人のAIアプリに入力していないかを、スタッフに確認する
  • ●今週(1時間): Gemini Live を開き、患者情報を入れずに、問診で聞く項目の抜け漏れを声に出して確認する
  • ●来月: 問診の仕組みを見直すなら、保存先・学習利用・削除方法の3点を、提供元に書面で確認する

この記事のまとめ

Gemini Live は歯科の問診には向きません。公式ページに患者情報の扱いの記載がなく、厚労省の第7.0版Q&Aは、入力情報が学習等に保存されないことの担保を求める考え方を示しています。向くのは、患者情報を入れない問診項目の壁打ちです。

よくある質問

Q.Gemini Live は無料で使えますか?

A.公式の料金ページ(米国向け)では、無料プランが月 $0 と表示されています(2)。日本での料金や利用上限は、確認した範囲では見つからなかったため、公式ページでご確認ください。

Q.患者さんの症状を Gemini Live に話してもらってもよいですか?

A.避けるのが安全です。厚労省の第7.0版Q&Aは、入力情報がAIの学習等に保存されないことを契約等で担保する考え方を示しています(3)。個人向けの無料サービスで担保を確認できるかが分かれ目です。

Q.音声AIで問診を記録すると、間違いはありませんか?

A.起こりえます。歯科の音声記録で、歯や治療計画の取り違えのような重大な誤りが起こりうると研究者が報告しています(4)。医療者が確認・修正する運用が前提です。

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Sanoの一言解説

本質は、音声AIが話せるかではなく、患者さんの情報を誰の責任で、どこに残すかの設計です。話しやすさは魅力ですが、問診は聞き漏らしと記録の責任がつきまといます。判断軸は3つです。患者情報を入れずに済むか、保存と学習利用を契約で確認できるか、院長が最終確認する時間を取れるか。1つでも欠けるなら、本番の問診には使わないのが安全です。省力化と説明責任はトレードオフです。明日は、院内で個人のAIアプリに患者情報が入っていないか、スタッフに1人ずつ確認してください。

参考・出典

5件
  1. [1]

    Google「Gemini Live」公式概要ページ(2026-10-08 確認)

    https://gemini.google/jp/overview/gemini-live/参照: 2026-10-08
  2. [2]

    Google「Gemini subscriptions」料金ページ(米国向け・米ドル表示。2026-10-08 確認)

    https://gemini.google/subscriptions/参照: 2026-10-08
  3. [3]

    厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版 Q&A」(2026年。2026-10-08 確認時点で本版が現行)

    https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001752355.pdf参照: 2026-10-08
  4. [4]

    King's College London「AI speech tools could revolutionise dental record-keeping but caution is needed」(2025年11月3日。2026-10-08 確認)

    https://www.kcl.ac.uk/news/ai-speech-tools-could-revolutionise-dental-record-keeping-but-caution-is-needed-kings-study-finds参照: 2026-10-08
  5. [5]

    ScanNetSecurity「個人情報保護法等の一部を改正する法律 公布」(2026年7月29日掲載。個人情報保護委員会の発表の報道。2026-10-08 確認)

    https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/29/55805.html参照: 2026-10-08
佐野泰喜
佐野 泰喜監修・編集長

歯科医師・MBA / 株式会社HAMIGAKI 代表取締役

歯科医師としての臨床経験をベースに、AI×歯科経営の実践研究を行う。歯科AIナビを運営し、全国の歯科医師・院長へのAI活用支援に取り組む。

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